ハンドベルに出会ったのは今から20年ほど前です。ひとりが鳴らせるのはたった２本なのに、みんなで振ると曲になる。これまで経験したことのないアンサンブルの楽しさに一瞬でとりこになりました。プロの演奏家の指導を受けながら、地元では地道に普及活動を行い、慰問先やコンサートでは必ず体験コーナーを設けました。しかし、たくさんの方がベルを楽しんでくださる一方で、楽譜を見ただけで拒否反応を示す方もいらっしゃいました。ある日、イベントでハンドベル体験を行う機会をいただき、うれしい反面、不安もありました。どんな方が参加されるのだろう、年齢や障がいの有無や程度、それ以前に楽譜を嫌がったらどうしよう…。毎日、楽譜に対する抵抗感を無くすことばかり考えていました。「楽譜がだめなら楽譜を載せなければいい」。単純なひらめきでした。こうして生まれたのが『ひらがな演奏』です。歌詞だけを用いたシンプルなアイデアが、多くの方に受け入れられ評価していただけました。『ひらがな演奏』は特別な練習が要りません。楽器に縁がなかった方にこそ使ってただきたいと思っています。