本書は、主に聴音のトレーニングを目的としたワーク・ブックです。ピアノを弾く時に自分の音を聴くといくことはとても大切な要素です。特別なトレーニングをしなくても聴音が得意な人もいますし、苦手な人もいます。また、音はわかっていても書き取るのが苦手という人もいます。毎回のレッスンの中で少しの時間を聴音にあてるということはピアノの上達には欠かすことのできない良い耳を作る結果となり、音符やリズムの理解などピアノの演奏技術の向上にも計り知れないメリットがあります。本書は、初歩の段階から一音ずつ丁寧に積み重ねてゆきますので聴音の苦手な人でも確実に音感を身につけることができます。各レッスンは2ページずつ構成されており、まず「うたいましょう」で自分の声で音程を確認し、「かきましょう」で音符を迅速に書く練習をします。そして、次に「どれでしょう」で音を聴き取る訓練をし、「ききとり」では実際に音を聴き取りながら音符を書く練習へと進みます。最初は三つの音から始まり、四つの音へ進んで、最後にはリズムもつけて書き取ります。慣れてくると、自分の耳から聴いた音をすぐに五線に書き取るという手順が自然にできるようになってきます。少しずつ根気よく各レッスンをこなしていってください。聴音の各課題巻末に「先生方へ」にまとめてあります。本書が、聴音という新しい角度から円滑なレッスンのためにお役に立てば幸いです。そして、良い耳からすばらしい音楽家たちが生まれますことを心より願っています。